認知症の方の衣類選びで大切にしたいこと
先日、認知症ケアについて学ぶ機会がありました。
その中で特に印象に残ったのが、「認知症の症状に焦点を当てるのではなく、ご本人様にしっかりと目を向ける」という考え方です。
認知症といっても、お身体の状態や、できること、苦手なこと、暮らし方は人それぞれです。
衣類選びも同じだと感じています。
「着替えが難しくなったから、何でも簡単なものにする。」のではなく、ご本人様ができることや、これからも大切にしたいことに合わせて衣類を選ぶことが大切です。
できることを続けられる衣類
例えば、ボタンを留めることはできるけれど、小さなボタンがつかみにくくなってきた方がいらっしゃいます。
そのような場合は、大きめボタンの衣類や、斜めボタンホールの衣類が役立つことがあります。
「時間はかかるけれど、自分で着替えたい。」そんなお気持ちを支えるための衣類選びです。
衣類を少し工夫することで、ご本人様ができることを続けられる可能性があります。
無理を減らす衣類
一方で、ボタンの留め外しが難しくなっている場合もあります。
そのような時は、ワンタッチテープの前開き衣類など、指先の細かな動きが少なくて済む衣類が役立つことがあります。
今までの衣類や着替え方で「できない」から手を差し伸べるのではなく、無理なく着替えられる方法を考えることも大切です。
衣類を工夫することで、着替えの時間も、その方らしさを大切にできる時間になることがあります。
分かりやすさを助ける工夫
衣類の前後が分かりにくい。
自分の衣類かどうか分かりにくい。
そんな場合には、名入れも役立つことがあります。
見やすい位置にお名前があることで、ご本人様にも、施設のスタッフ様にも分かりやすくなる場合があります。
また、クローゼットを整理し、衣類を分かりやすく収納することで、ご本人様が衣類を選びやすくなり、混乱を減らせることもあります。
こうした小さな工夫も、ご本人様の残っている力を活かすことにつながると考えています。
正解は一つではありません
認知症の方の衣類選びに、ひとつの正解があるわけではありません。
大切なのは、
- ご本人様が何をできるか
- ご本人様が何をしたいか
- どんなことがご負担になっているか
- どんな暮らし方を大切にされているか
を一緒に考えることです。
同じ前開きの衣類でも、大きめボタンが合う方もいれば、ワンタッチテープが合う方もいらっしゃいます。
名入れや目印が役立つ方もいらっしゃいます。
迷われたらご相談ください
せたがや介護では、
「着替えやすい服はありますか?」
「施設での生活が快適になる衣類を用意したいです」
といったご相談も承っています。
私たちは、認知症という言葉だけで判断するのではなく、ご本人様のご様子や生活環境を伺いながら、一緒に衣類選びを考えています。
衣類は、単に身体を包むものではなく、その方らしい毎日を支えるものだと考えています。
ご本人様が安心して、心地よく過ごせる衣類選びのお手伝いができれば幸いです。
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※この記事は、第27回日本認知症ケア学会大会での講演を通じて学んだ「認知症の方を症状ではなく、一人の人として捉える」という考え方に着想を得て、せたがや介護が衣類選びの視点からまとめたものです。
私たちは、衣類も、ご本人様らしい毎日を支える環境づくりの一つになればと考えています。
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