認知症の方は「着る」より「脱ぐ」が得意なことがあります
先日、第27回日本認知症ケア学会大会に参加してきました。
そこで学んだことの中から、今回は認知症の方の「着替え」について、お伝えしたいと思います。
認知症になると、着替え(①服を選ぶ・②服を脱ぐ・③服を着る)が難しくなることがあります。
しかし、着替えのすべてが同じように難しくなるわけではありません。
実は、「着る」よりも「脱ぐ」方が比較的できる方もいらっしゃいます。
「着る」には多くの判断が必要です
服を着るためには、
- どの服を選ぶか
- 前後や裏表を確認する
- 上着とズボンを順番に着る
- ボタンやファスナーを留める
など、たくさんの判断や手順が必要になります。
認知症になると、このような複数の工程を順番に行うことが難しくなる場合があります。
そのため、
「服はあるのに選べない」
「前後が分からなくなる」
「ボタンをかけ違えてしまう」
といったことが起こることがあります。
「脱ぐ」は比較的できることがあります
一方で、「脱ぐ」という動作は比較的得意な方もいらっしゃいます。
ボタンを外し、
服を脱ぎ、
身体から衣類を離す
という一連の流れは、長年の生活の中で身についた動作であり、続けられる方も少なくありません。
もちろん、すべての方に当てはまるわけではありませんが、
すべて手助けが必要と考える前に、ご本人様がどこまでできるかを一緒に確認してみることも大切です。
着ることが難しくても、
- ご自身で服を脱いでもらう
- ご自身で袖を通してもらう
- 最後のボタンだけお手伝いする
など、一部をご本人様が行える場合もあります。
認知症の方にとって、部分的にでもご自身で着替えを行うことは、「自分でできた」という自信や、「まだ役に立てる」という気持ちを保つことにつながり、役割を失ったように感じる不安を和らげる可能性があります。
着替えはその人らしさを表現する大切な時間
着替えには、身体を保温したり皮膚を守ったりする役割があります。
それだけではなく、季節や場所、目的に合った衣類を身につけることや、おしゃれを楽しむことは、ご本人様らしさを表現する大切な手段でもあります。
明るい色の服を身に着けることで表情や気分が明るくなったりするなどの良い変化が見られることもあります。
ぜひ、ご本人様の「したいこと」や「個性」、「残存能力」を活かした着替えの方法を、一緒に考えてみてください。
迷われたらご相談ください
「着替えやすい衣類はありますか?」
そんな時は、お気軽にご相談ください。
せたがや介護では、ご本人様のお身体の状態や生活環境を伺いながら、「できること」を大切にした衣類選びを一緒に考えています。
衣類を少し工夫することで、ご本人様がこれからもその方らしく毎日を過ごせるお手伝いができれば幸いです。
※この記事は、生活協同組合コープかごしま・鹿児島県作業療法士協会かごしま認知症OTネットワーク作成『くらしのあれこれヒント集 パート2』の「着替え(更衣)」の考え方、および第27回日本認知症ケア学会大会 教育講演7「生活障害や残存能力の解像度を高めリハビリテーションやケアに活かす」(演者:田平 隆行先生)の講義内容を参考に、せたがや介護が日々のご相談や衣類選びの経験を踏まえてまとめたものです。
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